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蚊の化学

世界では約3000種類以上、日本国内では約100種類もの蚊がいると言われていますが

日本で一般的に人をさす蚊として問題となるのは、

ヒトスジシマカ(ヤブカ)、アカイエカ、チカイエカなどです。

ヒトスジシマカ(ヤブカ)は、主に昼間吸血を行い、屋内に侵入することなく

屋外で通りがかりの人をさします。

一方アカイエカは、夜間吸血性で、屋内で寝ている人をさします。

チカイエカは、活動時間は昼夜を問わず、また寒さにも強く、一年中活動しています。

アカイエカと同じで屋内で、冬は暖房のあるビル内で吸血活動をおこなう厄介な蚊です。

蚊は水中に卵を産み、幼虫であるボウフラが脱皮して成虫となり

産卵を繰り返して増殖します。ですから、蚊はちょっとした水たまりがあれば

容易に発生し、海や山だけでなく都心でも、放置された

ジュースの空き缶などの水たまり付近で発生します。

 

動物の血を吸うのはメスの蚊です。メスの蚊は交尾を行っただけでは

産卵は行えず、血を吸うことによって初めて子孫を残すことができるのです。

ですから、メスの蚊が血を吸うのは約1ヶ月の寿命のうち産卵する時の

3~4回のみなのです。普段はオスもメスも同じように果実の汁や花の蜜、

樹液などを吸ってつつましく生きています。

 

蚊が皮膚にとまり、針を刺入してから血を吸い終わって針を抜くまでの所要時間は

約2分40秒。蚊はこの短い間に何をするのでしょうか?

蚊は人の皮膚にとまると、まず針をとおして自分の唾液を注入します。

この唾液中にはかゆみや腫れをおこすヒスタミン様物質を含んでいます。

この為、蚊にさされると皮膚が赤く腫れ、かゆみが起きるのです。

そして、この唾液中には、皮膚の感覚を麻痺させる物質や、

血液を固まりにくくさせる物質をも含んでいると言われています。

したがって、蚊にさされてしばらくしてからかゆみが起こるのは、

この唾液の作用だとされています。その後、蚊は血を吸うのです。

 

体温の高い人は蚊にさされやすい、とよく言われます。

本当なのでしょうか?

一般に蚊は人が吐く息の二酸化炭素(炭酸ガス)、人の皮膚の温度、

湿度を頼りに、さす相手を探しあてます。市販の虫よけスプレーの

主成分ディートは、その揮発物が蚊の二酸化炭素や温・湿度を感知する部分にくっつき、

感知できなくすることにより、虫よけ効果を発揮します。このことからも

体温の高い人の方が探されやすく、さされやすいと言えます。

また、運動後や飲酒後は、皮膚の血管が拡張し、血行が良くなり

体表面の温度が上がるのでさされやすくなります。

女性は、月のうちに体温が微妙に変化するので、

体温の上がる時期にさされやすいという説もあります。

蚊は、匂いにも、寄ってきます。特に汗の匂いに敏感ですので、

蚊よけには体を清潔に保つことが大切です。

 

蚊よけ対策としては、かかない!こと。

普通はほうっておけば1日ほどでかゆみはおさまります。

ひどい場合は抗ヒスタミン剤の入った薬を塗布すると効果的です。

幼児はかゆみに我慢できず、爪でかきむしった傷口から細菌が入り、

化膿してとびひになるなど、二次感染に注意しなければなりません。

爪を切り、眠るときに手袋をしたりと工夫が必要です。

また、蚊を寄せつけない!こと。

屋内では蚊取り線香や電気蚊取り器をを使用しましょう。

庭で火をたくことが可能であれば、蚊が家に入らないよう、

雑草を燃やし、煙を出すのが効果的です。

虫除けスプレーは、水や汗、蒸発によって取り除かれます。

海や山へ出かけた際には、効果を持続させるためにこまめに塗布しましょう。