天候と病気
暑かった夏が終わると、幾分しのぎやすくなります。
しかし、季節の変わり目には、思わぬ病気や発作にみまわれることがあります。
「湿気が増えると、古キズがうずく」とか「空気が乾燥すると、咳がでてしまう」などと
よく耳にします。
なぜ、お天気が変わると、多くの人が体の不調を訴えるのでしょうか?
雨が降ると、古キズがうずくのは、なぜか?
私たちの体は、知らない間にお天気の影響を受けています。
気温はもちろん、気圧や湿度などの変化が私達の体調に隠れた影響を及ぼしているのです。
近年の温暖化を原因とするゲリラ豪雨などの異常気象による
急激な気象の変化も、私たちの体に大きな影響を及ぼしています。
気象の変化が体調に影響を与えることで、何らかの症状を発症したり
悪化させたりする病気を「気象病」と呼んでいます。
気象病は、天気の変化が発症のきっかけとなるため、
別名「お天気病」とも呼ばれています。
気象病には、どんなものがあるのでしょうか?
代表的なものとして、古傷の痛み、頭痛、関節リウマチ、神経痛、
狭心症、血栓、尿路結石、気管支ぜんそく、心筋梗塞、脳出血、
感冒、胆石、急性虫垂炎などを挙げることができます。
具体的に気象は如何に体に影響を及ぼすでしょうか?
私たちの体は、その外部環境である周囲の温度はもちろん、
気圧や湿度などの影響を常に受けています。
一方、人体の中には、外部環境が変わっても、内部の環境を
一定に維持しようとする機能が備わっており、気象が変わって
外部の気温、気圧、湿度などが変化するたびに、内部環境を
一定に保とうと必死に頑張っています。
このような内部維持機能は、ホメオスタシスと呼ばれ
自律神経などがその役割を担っています。
しかし、あまりに外部環境の変化が急激であったり、
体調を崩していたりすると、気象の変化に体がついていけず
体調に異常をきたし、病気を発症してしまいます。
気象病発症のメカニズムとしては
様々な説がありますが、一般的には3つの原因が考えられます。
第一は、前線や低気圧の接近による気圧の急激な低下です。
減圧によって、体内にヒスタミン又はヒスタミン様物質ができて
体内の水分が貯留し、平滑筋の収縮、血管の透過性、炎症反応が増強されるため
気象病が誘発されるとする説です。
第二は、気象変化が自律神経に影響を与え、最初は副交感神経の感受性が亢進し、
ついで、交感神経の感受性が亢進するとする説です。
両神経が敏感になることで、自律神経のバランスが崩れ、頭痛がしたり、
古傷が痛んだりするのです。
第三は、体や心が急激な気象の変化をストレスと受け取ってしまうことによるものです。
気象の変化をストレスとして捉え、下垂体前葉、副腎皮質系が活性化
されるために、起こるとする説があります。