
ジャコウジカとジャコウネコ

人類はかねてより、自身を魅力的に演出するために香料を使用してきました。
天然香料は自然の動植物から得られる香料のことで、植物由来のものと動物由来のものがあります。
天然香料のうち動物性香料は、動物の分泌物などから抽出された香料のことを指します。
麝香鹿(じゃこうじか)の雄の生殖腺を切り取り乾燥したものを麝香(じゃこう)といい、
これはムスクともいわれ、かつては高級な香水に配合され、人の肌の温度と混ざりあい、
ラストノートとして長持ちする残り香を形成し、セクシーで温かな色っぽい香りになるのが特徴です。
しかし、麝香の採取のためにジャコウジカは乱獲され、絶滅の危機に瀕したため、
現在ではワシントン条約で国際取引が禁止されています。
麝香猫(じゃこうねこ)の雄雌の尾部にある一対の分泌腺から採取した香料の霊猫香(れいびょうこう)は
シベットともいわれ、雌のものはにおいは強いが不純物が多いので、主に雄から採取します。
シベット採取のための飼育は、現在アフリカに限られていますが、高温・多湿下、良質の餌(牛乳、卵白)を与えて、
1回に7~8g、年間40回程度採取されています(年間採取量約300g)。
シベットの採取方法はジャコウネコの肛門にヘラを入れて掻き出しますが、
ワシントン条約による取引規制はされていないものの、採取方法が残酷だとして動物愛護団体からは
非難されているそうです。
希少な高級コーヒーであるコピ・ルアクは、ジャコウネコ科の動物に一旦コーヒーの果実を食べさせ、
排泄物の中から未消化の種を利用したもので、特別な香味、甘みと奥行きのある風味、
まろやかな口当たりが楽しめると言われています。