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鉄分の必要性

鉄は大きく分けて2種類あり、植物性の食材に含まれる非ヘム鉄と、

動物性の食材に含まれるヘム鉄に分けられます。

ヘム鉄はポルフィンとういうたんぱく質の中に鉄分子を含んだ

「ヘム」とういう化合物の中に存在し、

小腸にあるヘムの特殊な受容体を介して、小腸上部で吸収された後、

小腸細胞内でポリフィリン環から分離して鉄イオン(二価鉄)となります。

食物繊維やタンニンなどによる吸収阻害の影響を受けないため、

体内での吸収効率はヘム鉄が非ヘム鉄に対して5~10倍も優れています。

 

非ヘム鉄には二価鉄(Fe++)と三価鉄(Fe+++)がありますが、

食品に含まれる非ヘム鉄の多くは三価鉄です。食品に含まれる鉄イオンと

鉄化合物(クエン酸鉄、ピロリン酸鉄など)はまずは胃酸で化合物から

鉄イオンが遊離(離される)されます。

鉄イオンである三価鉄はこのままだと吸収率がよくないので小腸粘膜に存在するDcyt1と

呼ばれる還元酵素により二価鉄へと還元されます。

 

鉄は男性では殆ど不足することがなく女性で不足することが多いです。

それは、月経で毎月血液を失ったり、妊娠、出産などにより不足したりすることが多いからです。
 

では、鉄が不足するとどうなるのでしょうか?

皆さんがよく知っている貧血です。血液中の赤血球の数や、

その中で酸素を運搬する役割を担うヘモグロビンというタンパク質の量が不足することにより、

血液が組織に十分な酸素量を届けられなくなった状態です。めまいや立ちくらみ、

頭痛などのさまざまな症状が現れることがあります。

その他にさじ状爪(爪が薄くなって反り返る)、脚がつるなどの症状が出ることもあります。

また、脳卒中リスクを上昇させることもあるので注意が必要です。

逆に鉄が多すぎると、嘔吐、腹痛、下痢、刺激、眠気、疲労、肝細胞機能障害、

皮膚色素沈着などの症状も出ることがあるので気をつけましょう。

 

最近では隠れ貧血の人口も増えており、また、ハードなトレーニングをする

アスリートの貧血も問題になっており、鉄は大きく注目されてます。

 

まずは食事から鉄分を摂取することが大切です。

成人した日本人の場合、1日に食事から摂取する鉄の量は男性で7.5mg、

月経のある女性では10.5mg、月経のない女性では6.5mgが推奨されています。

しかし、実際は7~8㎎しか摂取できていないことが多いです。

吸収率の高いヘム鉄を多く含むレバーや貝類のほか、非ヘム鉄を豊富に含む

豆製品や小松菜、ほしひじき、切り干し大根などを意識的に摂取するといいです。

また、鉄の吸収を助けるビタミンCや動物性たんぱく質などとも一緒に取ることをお勧めします。